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【人事制度編】人事担当者に聞く「2020年の振り返り」と「2021年の展望」

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2020年は新型コロナウイルス感染症拡大にともない、多くの企業が働き方や事業運営の変化を迫られました。そこで今回、各社の人事担当者を対象に、2020年の動向と2021年のトレンド予測や取り組み内容についてのアンケートを行いました。
今回の記事では、「人事制度」に関するアンケートにご協力いただき、その内容をまとめたものをご紹介いたします。

2020年の「人事制度」に関する振り返り

【質問①】「人事制度領域」では2020年はどのような1年でしたでしょうか?社会状況や社内状況などの変化について教えて下さい。

在宅勤務への移行に関するコメント

・リモートワークが加速し、通勤交通費やオフィス家賃、またマネジメント手法など変化を迫られる年になった。
・これまでの月数回までのテレワーク制度を、コロナの影響もあり、在宅勤務を主軸にする勤務形態へ変更した。それに伴い、在宅勤務の制度を整備したり、労務管理を変更した。
・コロナに始まり、コロナに終わる1年だった。在宅勤務という働き方、それに応じた目標設定・評価・報酬の再考というハード面の議論が先行。私が感じているのはそうした面に加え、ソフト面の重要性が著しく上がった年だったように思う。具体的には、例えば1on1やコーチングというスキル、それを支えるスキルトレーニングやHRBPなど。
・急なリモートワークの導入につき、対応できる制度構築を求められた。

採用/評価の基準に関するコメント

・コロナによる突発的な影響により、先読みが難しい状況になったために、これまでと成果や評価の基準も見直しが必要となった。また成果を出せる人材も変化し、必要な職務要件定義にも見直しの必要が起きている。
・コロナ影響により、ジョブグレードの見直しや、プロセスではない成果評価への移行という大きな流れがあった。
・コロナ対策のための制度作りに追われた。

その他のコメント

・「ジョブ型人事制度」の議論が隆盛となった年だった。「ジョブ型」人事への転換は、日本の産業構造や企業を取り巻く事業環境の変化、また就業環境の変容とそれに伴う働き手のマインドチェンジなどを背景として以前より議論があったが、昨今の働き方改革の動き、またコロナ禍によって企業が組織・人材マネジメントの変質を迫られていることによって、議論に拍車がかかっている。
・採用ストップにより、結果として売上減少が起きた。業界のフェーズが変わり、同じ事の繰り返しではコロナ前と同じ結果が出ないと感じており、新しいことをやっていかないといけないと感じる。

東京都で最初に緊急事態宣言が発令されたのが昨年4月。それに伴い、各社リモートワーク・テレワークへの移行と、それによる人事制度の整備に追われた1年だったようです。移行にはスピード感が求められることから、人事にとっては考えながら動く年だったのではないでしょうか。
また、ジョブ型人事の広がりや、コロナ渦による評価方法の変化により、市場で求められる人物像が変わりつつあることも読み取れます。

【質問②】2020年はご自身や自社の業務の中で「人事制度領域」ではどのようなことを主に実施しておられましたでしょうか?

・通勤交通費を含めた福利厚生の見直し、雇用形態や就業規則の刷新準備。
・「同一労働同一賃金関連法」で求められる諸手当・規程類の整理・検討、また法施行を期に改めて各職務の役割を定義し、評価制度の改定などを実施。
・リモートワーク制度の導入(就業規則の改定、賃金規定の改定:主に通勤手当、勤怠管理の新運用など)
・在宅勤務に則した制度変更、構築、運用対応。
・従業員1人ひとりの環境が違うので、会社の方向性を軸に個別対応をした。
・働き方のうち、特に在宅勤務による従業員のストレスを以下に低減・解消していくかについて企画立案し実施。またメンバーとのコミュニケーションの質の向上に向けて1on1研修の講師を担当。
・人事制度改定、リモートワークによるエンゲージメントの影響や対策。
・MBOベースでの制度設計、評価者研修など。
・現状の仕組みをどこまで維持すべきかの検討と、コロナ影響による暫定措置の実施。

リモートワーク・テレワーク制度の導入、それに伴う規則や福利厚生の刷新が中心の回答となりました。その中で、ハード面である制度の整備だけでなく、リモートワーク・テレワークによる社員のストレス増加やエンゲージメント低下への対策をしてきた企業も多いようです。

家庭や自宅の状況は社員ごとに異なるため、例年以上に個別対応も求められた1年だったのではないでしょうか。

2021年の「人事制度」に関するトレンド予測・各社の取り組み内容

【質問③】2021年の人事部予算の見立てを教えてください。

【質問④】2021年では「人事制度領域」の観点では、社会情勢や自社における周辺環境はどのような変化や状況を想定されてますでしょうか?

・中途即戦力採用は、いわゆるジョブ型の文脈で加速する。一方で新卒新人の育成やイノベーション創出など「余白が必要・知の偶発的混合が必要」な領域は、複業人材の活用など、試行錯誤が続くだろう。
・コロナ禍によるリモートワーク普及後、初めての人事評価を迎える企業が多数出てくるはず。対面せず仕事を行う中で、どのようにメンバーの仕事を評価し適切な報酬に反映していくかという点について、多くの企業で課題認識が強くなり、取組みのニーズが高まってくるものと思われる。
・社会としてはDXが整理され、何が必要で何をしなくてはいけないか、ということが落ち着いてくるのではないか。自社としては、オフィスを縮小して全員が在宅勤務となったが、在宅に慣れて緊張感が緩んだ時に、在宅での勤務の反動があると考える。完全なオンラインの中でどうモチベーションやコミットメントを高めるかが重要。
・2021年はニューノーマルにおける真の課題が浮かび上がる年になる。2020年は「突然襲来したコロナ禍への応急的な対処」に過ぎず(それはそれで大変でしたが)、社員や世の中がコロナ禍に慣れてきた中で、2021年に人事制度面での本当の困りごとは何か?経営として目配りしないといけない本質的な課題は何か?を見出す必要が出てくると思う。
・リモートワークや付随する変化における制度の刷新が必要。
・新たな市場開拓に力をいれていく。新規事業の推進。
・一部社員の在宅業務の定着
・コロナの影響で個々人の価値観にも変化が生じている。必要な人員を確保しつつ、不採算人員のスムーズな退出を促すことも必要となってくると考えている。

【質問⑤】質問④の想定の中で、2021年の「人事制度領域」は、ご自身ではどのような対応やチャレンジが必要になってきますでしょうか?

・「ジョブ型」に代表されるような個々の仕事・役割を明確化していくための制度と、制度だけでは担保されない行間を埋めるための社内コミュニケーションの仕組み化(MVV浸透/1on1等)の両輪を進めることで、新たな事業チャレンジとリモート環境での円滑な業務遂行をサポートしていくことが人事のチャレンジになる。
・本気のHRBPを進める。HRBPを担うには人事制度系の専門性のみならず、採用/教育/組織開発/労務/給与など人事全般の知識と、事業経営者と経営を語るための最低限の財務/IT/法律知識などが必要。そのため、それを担えるプロフェッショナル人事パーソンの早期育成が重要になる。
・インフラ環境やIT環境の整備、リモートワークの推進、人事制度の刷新
・プロセス部分の評価方法の検討、エンゲージメント向上。
・フレキシブルな対応(在宅勤務、時差出勤、その他福利厚生等)
・システム導入などを含め、出社しなくても効率があがるような施策。対面の重要性も鑑みながら、ストレスケアに重点を置いた施策。
・既存の仕組みにとらわれずに、変化に対応しチャレンジができる人員を育てるためのインセンティブ設計。

2020年が突発的・一時的対応に追われたことと比べ、2021年はコロナによる変化を受け入れた上で、ニューノーマルな働き方・価値観の中でどのように生き残っていくか、という企業変革が求められると想定している人事が多いようです。

その中で引き続き、リモートワーク・テレワーク環境下での生産性やエンゲージメントの向上は人事のテーマになりそうです。また、事業としてのチャレンジや変革ができる人材がより重要になってくることも読み取れます。

2021年の「人事全般」に関する注目ポイント

【質問⑥】ご自身が注目されている2021年以降の重点領域などあれば教えて下さい。

・新たな環境下に適したマネジメントスキルの開発(アサインメント・目標設定・評価・コミュニケーション等)、および新たな環境下に適した昇格・昇進の仕組み・制度開発。
・組織文化の改革。
・本気のHRBPに取り組む。
・人事制度の刷新。
・従業員の熱量を高めるための制度づくり。
・アフターコロナでの在宅勤務の規定づくり。
・定年後の待遇検討。
・キャリアを再考する人が増えたため、キャリアコンサルティング業務の強化(※フリーランス人事支援の方からの回答)
・フリーランスの活用など正社員採用以外での雇用とその評価。
・職住融合/分人主義のような、複数の顔を持つ職業人が増えると想定。

まとめ

2021年の大きなテーマとしては、①リモートワーク・テレワークにおける人事制度づくりおよび社員ストレスの軽減②ジョブ型移行・個人の価値観の変化による雇用形態や採用基準の変化の2点が挙げられそうです。また、そういった流れを受けながら企業成長していくためには、足元の採用やルール導入、労務管理だけではなく、グレードや人事評価を根本から見直していくことや、マネジメント人材の育成が重要になると考えている企業も多いようです。

昨年に引き続き新型コロナによる影響も続く中で、人事としてはよりチャレンジングな1年になるのではないでしょうか。

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