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採用決定数3倍を実現!「エージェント協力体制」の構築術とは?

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エージェント経由で活躍人材の採用を実現するためには、エージェントの「注力企業」に入り、協力体制を構築していくことが非常に重要なポイントとなります。

しかしながら、昨今の働き方改革の影響を受けて、 エージェント一人あたりの「注力企業数」は減少しています。

特に、2019年に改定された働き方改革関連法では、大企業でも中小企業でも、残業時間は原則月45時間以内、年間で360時間までと上限が設定され、エージェント各社では、これまでの労働集約型のモデルから、 「生産性」を求められた働き方に大きくシフトしています。

本記事では、エージェントの注力企業が減少していく中で、どのように自社への採用協力体制を作るか、具体的な方法と事例をご紹介していきます。

監修者プロフィール

株式会社コーナー 南部 晶洋
新卒で株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に入社。
数百名規模の新卒採用担当、中途採用責任者を歴任し、年間数百名規模の採用を行う。大手企業に人事として常駐(RPO)を経験。また、人材紹介部門のトップキャリアアドバイザーとして2,000名超のキャリアコンサルティングを実施、マネージャーとして30名超の組織マネジメント経験を経て、2018年にコーナーに参画。
コーナーでは大手クラウドサービスベンダー、一部上場不動産会社での常駐リクルーターとしてエージェントコントロールも経験。

エージェントを取り巻く環境

2016年頃まで、エージェント一人あたりの担当顧客は100社以上、全方位的に様々な業界や職種を担当し、労働時間でカバーしていることが多い状況でした。

しかし現在では、労働時間管理の強化により、エージェントも生産性を重視した働き方に移行しつつあり、「担当業界の特化」一人あたりの担当企業数の減少」「社内サポート部門の新設」などが行われています。

また、情報提供の深さ(質の高さ)も求められるようになり、営業担当における「注力企業数」にも大きく変化が起きています。

人事担当者が、新規のエージェントに相談しようとした場合に、担当顧客数や採用難易度の観点からお断りされるケースも発生しています。
このような環境下で、エージェント経由で活躍人材の採用を実現するためには、数少ない「注力企業」に入り、協力体制をエージェントと共に構築していくことが非常に重要なポイントになっていきます。

エージェントの「注力企業」に入るためには?

まずは、エージェントの視点を考えてみましょう。

エージェントは、採用決定の目標を持っていることがほとんどです。
もちろん、「自分が応援する会社を支援したい!」という気持ちもエージェントにとっては大きな動機ですが、目標達成の観点においては、以下ポイントで注力企業を選定するのではないでしょうか。

・採用決定しやすい企業であること(=「決まりやすさ」)
・紹介手数料が相対的に高いこと
・採用枠(人数)が多いこと

この中で、紹介手数料や採用人数はコントロールがしづらいため、「決まりやすさ」をどう作るかが、人事が変えられるポイントになります。

それでは、「決まりやすさ」はどのように作れるでしょうか。
採用決定を生み出しやすい、とエージェントが思うポイントは以下が挙げられます。

・スタンスに共感できる
・情報量が多い
・選考スピードが早い
・候補者の意向醸成ができる

一つずつ、どのような点を意識するべきか見ていきましょう。

スタンス

Good
◎人事が事業/採用に向き合っている
◎エージェントをパートナーとして見る

Bad
☓採用背景の深い理解がない
☓一方的なコミュニケーション

転職希望者に一度に案件紹介する数は平均30求人ほどと言われています。その中で「語られる求人」になるためには、エージェント担当者が自分の会社のことのように熱をもって話せる状態まで、目線を合わせることが大切です。そのためには、エージェントを業者として扱うのではなくパートナーとして考え、双方向のコミュニケーションを取ることが重要です。

情報量

Good
選考フィードバックが明瞭
採用決定者の人物像が明確
採用部署の責任者とエージェントが直接話せる
作りたい未来の丁寧な伝達がある

Bad
☓曖昧な選考フィードバック
☓人が欲しいことしか分からない

文字だけの採用要件では、どのような人材が活躍するか具体的な人物イメージが分からない状態で、空をつかむような人選・推薦しかすることができません。結果として採用支援まで繋げることが難しかったり、エージェントにとっても非効率になってしまいます。
目指す未来や、採用部署の状況を理解した上で、「こういう人だったら活躍できそうだ」というペルソナが具体的にイメージできること、これがエージェントが注力して人選を行うために必要になります。

スピード

Good
選考や返答のスピードが早い
イレギュラーの調整に尽力する

Bad
☓選考結果に1週間以上かかる
☓一律のオペレーション

高い評価を受ける候補者は、現職でも活躍されているので転職活動に割ける時間帯が限定的であったり、他企業からも多数の声が掛かっているケースが多いです。一律の採用オペレーションで対応してしまうと、結果を通知しない間や次回選考までの間に、他企業への意向が上がったりと、採用に繋がる可能性が低くなっていきます。
採用したい人材に対しては、採用可能性を高めるためのアクションを柔軟に行えることが「決まりやすさ」の一つの要素と言えます。

候補者の意向醸成

Good
◎候補者からの面接の評判がいい
欲しい人材を口説く
カジュアルに面談を実施する

Bad
☓面接に行くと意向が下がる
☓口説きたいという割にエージェント任せ

面接は企業が候補者をジャッジをする場ではありますが、一方で、候補者が企業について判断をする場でもあります。また、転職活動を進める時に、最初から「この会社に入りたい」という強い気持ちを持っているケースは少なく、選考を進める中で、志望理由が候補者自身の言葉で醸成されていくものです。
エージェントからの応募に限らず言えることですが、最初にカジュアル面談(選考ではなく、相互理解のための面談)を設けることや、各面接の過程で「自社のことを理解してもらおう」というスタンスで臨むことが、候補者の意向を上げるために重要になります。

エージェントの意向を上げる!トーク例

エージェントをファン化し、「この会社を支援したい!」という特別な存在になることも、注力企業になるポイントです。エージェントとのコミュニケーションにおいて、以下のような観点で会話をしてみましょう。

未来の話をし、目線を合わせる

・「3年後の事業は●●の状態を目指していて・・・」
・「このプロダクトが出来ると、●●が解決できてこんな未来ができる・・」

現在の「どんな人が欲しいか」だけではなく、未来の事業に向けた情報提供をし目線を合わせましょう。ここの理解が合っていると、必要な人材の認識がぶれなくなります。

情報のプレミアム感を出す

・「かなり理解してくれているから、●●さんには話すけど・・・」
・「3人限定にしているんだけど、ハイアリングマネジャーとの面談に是非」

自分たちしか知らない情報はエージェントにとって大きな武器になります。プレミアム感を出すことは非常に有用です。

動機付ける

・「この間してくれたあの施策、社内で評判すごくいいよ」
・「最近、●社に負けてるよ。期待しているから2週間後までに・・・」

情報を渡し主体的に動ける環境を作った上で、アクションに対してのフィードバック期待を込めた一言を伝える、約束事を設けることでより有用なアクションにつながります。

プロセス別アクション例

特に注力して欲しいエージェントには、各プロセスごとに以下のようなアクションを実施することで、パートナー化し、協力体制を実現することができます。

新規求人発生時

要件定義の段階から相談をしましょう。

①仮状態での求人票を作成し、共有
・仮の求人票を元に、「プレ求人票」の提案をしてもらう
他社の類似案件について、情報提供の依頼をする

②ハイアリングマネージャーとエージェントとのMTGを設定
エージェントから、採用要件の提案をしてもらう

エージェントへの広報

「推薦数」などの目標を握りあいましょう

①上記にて決定した求人票をエージェントに展開

②同時に、1週間後を目安に、状態目標のコンセンサスをとる

推薦時

推薦された候補者をもとに、目線を合わせましょう

1〜2営業日で書類選考結果を返す

②書類選考のフィードバック
・決定イメージが持てる人材の場合は、良いと思ったポイントと、可能性がある旨の共有をする
・お見送りと判断した場合は、異なると思ったポイントを必ず伝える

進捗時

内定承諾に向けた作戦会議を、常にエージェントと行いましょう

①決定ストーリーの共有
社内評価の詳細開示(評価ポイント・懸念ポイント)
「志望度」「他社の進捗状況」を随時確認

その他

①定例MTGの開催
・KPIモニタリング/課題と打ち手の明確化
最新の入社決定情報事業トピックスなどの共有

②情報アップデート
採用部署の責任者やメンバーとの接点創出

③キャリアアドバイザーへの説明会
・分業型エージェントの場合、情報流通を直接キャリアアドバイザーと行い、推薦数や決定率の向上を狙う

④面接確約
ブラインドレジュメ(個人情報が隠された状態のレジュメ)にて、面接確約にする
・スペックなどをすり合わせて、面接確約条件をエージェントと握る

決定数3倍を実現した事例

大幅に採用計画が遅れてしまっていたところから、エージェントとの関係構築を見直し、採用活動に成功した事例をご紹介します。

当初の状況、課題

■具体的な改善アクション手順

①エージェント選定:これまでの推薦数や決定数を元に、メインになり得るエージェント複数社を選定。課題認識のための打ち合わせを実施。

②要件の再定義:①で選定したメインエージェントと、各採用部署の責任者の打ち合わせを実施。

③キャリアアドバイザーへの説明会 :ネガティブなイメージが先行していたため、候補者と直接接点を持つキャリアアドバイザーに向けた説明会の実施

④進捗スピード化:これまで現場が書類選考をしていたところをテコ入れし、人事が書類選考する体制に変更。1〜2営業日で結果連絡を必ず行う。

⑤意向上げ施策:  採用したい候補者との「意向上げ面談」の機会を設置

⑥情報提供:採用部署の責任者やメンバーとエージェントの接点を設ける

⑦定例MTG実施 :KPIモニタリングと打ち手構築の機会を定期的に設置

■結果

最初の1カ月間で①②の工程(メインエージェント選定と採用要件定義)を進め、1カ月目が終了するタイミングでは推薦数が2倍に。2カ月目から採用決定が出始め、取り組みを開始して約6カ月後に、書類推薦数2.3倍・書類通過率1.6倍を実現。結果として、採用決定数は当初の3倍に増加。

おわりに

未来の話に主眼を置き、エージェントと相談しましょう。

「今この部署に人が足りないから採用したい」といった足元のコミュニケーションになりがちですが、先に見据える経営や事業に向けて、どんな人材が必要なのかを一緒に考えてもらえるように情報提供を定期的に実施して、エージェントが主体的に動ける環境を作ることが最重要です。

エージェントは、未来を語ってもらえるとワクワクしますし、それに合うであろう人材を探し、語りたくなります。会社のファン化への大きな一歩となります。

候補者も、信頼するエージェントを絞って転職活動をするケースが多くなっているため、エージェントにとっての注力企業に入ることで、他では出会えない人材と優先的に接点をとることが可能になります。

エージェントとパートナーとして協力関係を作るために、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

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