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インタビュー

大手企業採用担当だった私が、「フリーランス人事」になれたワケ

インタビュー

大手ゼネコンで2年半働いた後、 より「人事の仕事を極めたい」と、大手求人メディア企業に転職し、採用担当として日に最大15人の面接をこなしてきた梅田麗香さん。 いつしか「フリーランスとしての人事」というスタイルに関心を持ち、独立 。現在はカナダに語学留学をするために単身海外へ。
常に論理的・客観的に自分を見つめ、社会に自分がどう役立てるかを冷静に判断してきた梅田さんに、フリーランスへと転身するに至った背景や、フリーランスとして働いていく上で大切なこと、そしてこれからについて伺いました。

<プロフィール>
梅田麗香
関西大学卒業後、新卒で大手ゼネコン企業に入社。総合職として入社し最初の2年は管理部主計グループへの配属、その後抜擢され東京本社人事総務部に転身し、「女性活躍推進」のプロジェクトリーダーとなり人事としてのキャリアをスタート。より人事を極めるべく、大手求人メディア企業に転職。採用担当として同社名古屋支店にて、東海エリアの新卒採用、中途採用に従事。年間の採用目標を大幅に達成。3年間の勤務を経て、フリーランスとしての道を歩むべく準備のために経営コンサルティング企業に転職。その後フリーランスとして複数社における人事・採用業務に従事。現在は語学留学のためカナダに留学中。

とにかくがむしゃらに働き続けた若手時代

新卒で入社した会社は、本社が東京にある大手ゼネコン。総合職だったので初めての赴任先は福岡で、そこで2年ほど経理の仕事をしました。建設現場からあがってくる請求書や入金の管理をする仕事です。
なので、当時はまったく「人事」の仕事に自分が携わることになるなんて、思いもしていませんでしたね。
その後、東京本社で「女性活躍推進」がテーマの人事プロジェクトが始まるため、プロジェクトリーダーとして本社へ来ないか、と誘ってもらい、初めて人事の仕事を知ることになります。
新卒2年目でそのような役目に抜擢してもらえたことがうれしくて、とにかくがむしゃらに動き回りました。
建設業界は皆さんがイメージする通り、まだまだ男社会が実情なので、若い女性であった私に白羽の矢が立ったのだと思います。

実はこのときプロジェクトのテーマは決まっていたのですが、「仕事」として渡されたものは一切なかったんです。
初めは正直戸惑いましたが、それでも自ら他社に電話をかけたり、無料セミナーに足を運んだり、社員200人くらいにインタビューを実施してもいいかとかけあったり……。とにかくできることを探して一生懸命仕事を作っていきました。
自分で道を切り拓いていく感じはすごくやりがいがありましたね。「行動力」、「情報収集力」の大切さを学んだのもこのときでしたし、それがとても自分に合っていると感じました。

一方で大きな会社であるため、ひとつひとつの判断スピードの遅さや、年功序列の世界になじめず、「もっと人事を極めたい」という想いが日に日に強くなり、思い切って会社を辞めました。

それから大手求人メディア企業に転職をし、採用担当として約3年間勤めました。大量採用が目標の会社だったので、多いときには1日に15人の面接も当たり前。新卒・中途どちらも経験することができ、とにかく数をこなしていましたね。
当時は本当に多くの人に会っていたので、日本人のパーソナリティすべてを見ることができたんじゃないかな、っていうくらい(笑)。

フリーランスになることを意識し始めたのは、社会人5年目くらいのころでした。当時の会社の同僚から「梅田さんは、組織に属しているよりもフリーランスの方が向いているんじゃない」と言われたことがきっかけで、それまで他人事だったその働き方に、興味を持ち始めたのです。

「自由」と「奔放」は違う

フリーランスになったことで、周りからは「自由でいいね、わたしもなりたい」ってよく言われるんです。
でも私はそういう言葉を聞くたびに「あなたは組織に属しておいたままのほうがいいよ」って思うことがよくあります。私の生き方が誰にとっても幸せとは限らないよ、と。

たしかに私の働き方は自由です。自分の好きなことで、好きなように仕事をして、好きなタイミングで転職をしているので。ただ、そのように働けるようにしてきたのは私自身で、いかに生産性が高く、効率的に仕事ができるかを工夫し、実践を繰り返してきました
そのため仕事がある程度わかってくるようになると残業はほとんどなかったし、よく上司にも「やることやりましたけど、文句あります?」という態度をだしていましたね(笑)。
でも結果を出しているので、それに対して何か言われることはありませんでした。自由に放し飼いにしてもらえたことは、とても恵まれた環境でした。

私はいつも「自由」と「奔放」は違うと思っています。相手の立場を考えて、お互いにwin-winの状態で仕事をすることが「自由」。会社や組織のことを考えず、「わたしはこうしたいので、理解してください!」というのは「奔放」。
自由と奔放を一緒にしている人が多いんじゃないかな、と思います。
自由を手に入れるためには、決断力が必要ですし、自分に対しての責任も課されます。自由な働き方は楽そうだと思われますが、そうではないのだということを理解しておいたほうがいいですよね。

まずは課題をヒアリングし、そこからできることを探す

大手求人メディア企業の名古屋支店在籍中に漠然と「フリーランスになって人事として働いてみたい」という想いが芽生え、次に自分が選んだ転職先は、都内のベンチャー企業でした。
たいてい人事の仕事は東京にあるし、自分と同じようなロールモデルの人が名古屋にはいなかったので、「とりあえず東京へ行きたい」と思い、東京の会社を選びました。面接時にはっきりと「いずれフリーランスになりたいので、勉強をさせてほしい」と伝えて、それを受け入れていただけた会社でした。
すぐにフリーランスにならなかったのは、当時自分にはまだ足りない部分である“ロジカルシンキング”を身に着けたい、という気持ちがあったからでした。この会社はゴリゴリのコンサル会社出身の方が多く、ここでならフリーランスになる上で足りないピースが埋まるのではないかと考えたのです。
毎日1時間のレクチャーを受けていく中で「ああ、こうやって自分の考えを外部の方に伝えていけばいいんだ」ということが見えてきた、という感じです。

この頃は、並行してフリーランスを募集している副業系サービスがあれば片っ端から登録をして、エージェントの方に会う日々。
corner(コーナー)に登録したのも、この頃です。でも一般的に「フリーランス」を募集している副業系サービスが求める職種の多くは、エンジニアやデザイナーでした。「フリーランスの人事」という需要はまだまだニッチな領域なので、そういう私を、どう企業に売り込んだら良いのか、corner(コーナー)以外の担当者自身もよく分かっていないように感じました。

そのためそういった人事に特化していない副業系サービスのエージェントの方には、とにかく自分は何ができるのかを伝え続けました
また逆に相手先にはどんなクライアントがいるのか、クライアントはどんなことに課題を感じているのか、ということを積極的にヒアリングしましたね。いい意味で、エージェントの方には頼らず、「この人からどういう情報をいかに多く聞き出せるのか」に特化して、そこからアプローチしました。ここでもかつて学んだ「情報収集力」が活かされましたね。「仕事が得られないと困る、けれどもミスマッチが起きてはいけない」と、先方の情報をいかに聞き出すかを徹底して行いました

最終的にこのベンチャ-企業に勤めている間に、初めて自分のクライアントができ、フリーランスとしての仕事のめどが立ったので完全に独立することにしたんです。

大切なのは社会と自分の位置関係を明確に持ち、常にアップデートし続けること

フリーランスというと、どうしても「自分は何をやりたいのか」が大切だと思われがちです。もちろんそれは前提として大切なことなのですが、それだけではなく、「世の中にはどんな需要があって、自分の適性がどこにあるのか」を正確に、冷静に判断できるのかも重要な視点であると思っています。「自分は何がしたいか」だけにフォーカスしてしまうと、独りよがりで「奔放」になってしまい、対価は発生しません。

そこで必要になってくるのが、「他己分析」です。常に学生時代の友人や会社の同僚、上司など自分をよく知っている人に会うと「わたしってどんな人かな?」っていうことをよく聞いていましたね。
些細なことかもしれないけれど、そういう小さなコメントをたくさん集めて、自分がどう周りに見られているのかを確認します。私はよく「社長をやっていそう」っていう声が多かったので、そういうパフォーマンスをしていたら社会からのウケがいいのかな、なんて考えていました。というのも人事は社長と直接話をする機会が多い仕事なんですよね。事業を今後どう拡大させていくか、その上でどんな人材が必要か、などをディスカッションできるパートナーになれたら強いだろう、と。
フリーランスなんて、世間から見たら「あんた誰?」っていう感じなので、自らタレントマネジメントをしていかなきゃいけないものなんだと思います。

実際に仕事をしていても、企業で社長をされている方と話していると、すごく気が合うなぁって感じるんですよね。元々私は失敗を重ね、自分で解決策を見つけ、ひとつずつ課題をクリアしていく、というようなゲーム攻略型の思考をする人間です。社長の方が書いた本を読んでいるとよく「失敗を楽しむ」みたいなことが書かれていますが、もう、本当にまさにその通りだなって。周りから見ている通り、自分自身が根っから社長気質なんだと思います。

また、自分自身をアップデートし続けていくマインドもとても大切です。
会社員時代には、会社が課題を与え続けてくれて、それをクリアしていけば自動的にアップデートできる仕組みでしたが、フリーランスはそうではありません。
自分に何が足りないか、それを解決するためには何をしないといけないのかを考え、自分で自分を成長させていかないといけない。
そうでないと、これまで自分が経験してきたことでしか仕事ができなくなってしまい、毎年変わり映えしない仕事をし続けていくことになります。それは自分には耐えられないし、そういうマインドが持てない方は、フリーランスには向いていないのかもしれません。

カナダに来て見つけた、新たな夢

実はいまは、人事のフリーランスの仕事をお休みして、カナダにいるんです。友達みんなに「理解できない」って言われているんですけど(笑)。
元々一度は海外で生活をしたい、という目標があったのですが、カナダに行ったのにはいくつか理由があります。
まず半年ほど人事のフリーランスの仕事をいただくなかで、自分に何が求められていて、何で貢献できるのかということが分かり、「いつでも帰って来て仕事ができそうだ」と思えたことが一つ。またこれから先、結婚もしていきたいと思うと、自分中心で行動することができる20代最後の今がベストかな、ということが一つ。

何より、人事の仕事をしていく中で、「人」について興味を持ったんですよね。「なんで人ってこんなに違うんだろう?」、「なんで人はもめるんだろう?」、「なんでみんなはこうなのに、わたしはこう考えるんだろう」と。
もっといろんな人のことを知りたい、と思い、移民の文化があるカナダへ語学留学をすることを決めました。
人事をやるにつれて「この人をどう活かすか」っていう考え方がすごく好きになったんですよね。であれば日本人だけでなく、世界中の人を知り、将来的には海外の人を巻き込んで、グローバルな目線で仕事をしていくのはすごく面白そうだな、と考えました。

さらにカナダに来てから、新たな夢もできました。
それは大学に行って「行動心理学を学びたい」ということ。人事をしていると、どうしても自分が見てきたことや、会ってきた人、などの「経験」を使って話をしてしまいがちです。
ですが客観的に証明されている事象を交えながら説明ができたりするようになると、より独自性のある人事になり、自分の強みになるんじゃないかと考えるようになったんです。さらに語学力もついていたら、もう最強の人事になれるなって。まだまだ足りていないことは山ほどありますが、それすらも楽しみながら自分自身をさらにアップデートしていき続けていきたいです。

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